Tuesday, October 04, 2005

夢の尊さ



『百年の孤独』ーガルシア・マルケス

もうずいぶん前に読んだ本なので記憶の断片をたどりながら書く事しかできないが、その分よけいな情報がそぎ落ちて核心だけが心に残っている。

6ポイント程の小さな活字が上下2段に組まれ1ページに収まって、読むという行為に軽い緊張感を与えてくれる。はじめのスローな進行に弱冠のもどかしさを感じながら、いつのまにか文章のスピードは加速し、むさぼる様に読んでいる自分に気がつく。そして一節一節を注意深く読む『癖』の様な物を身につけながら騙される喜びを体感する。
文体からあふれる楽しく奇妙な調べは、時としてほのかなエロスを醸し出し、まるで夜のカーニバルの様な一種狂気を孕んだ興奮を感じさせたり、まばゆいばかりの美しさを表して深い感動を与えてくれる。

こうして、この本を読む者は物語の世界へと旅をすることになる。

現実主義(リアリスト)や物質(マテリアリスト)にとらわれる事を好まない、もしくはそういう風潮に疑問を抱いている人であれば一読されることをお勧めする。

この物語から私は、夢を夢のままにしておく事の尊さを学んだ。
それは夢を現実にする事を良しとしてきた私達が、夢を掴んだ事で得た喜びや束の間の快楽の代償として『喪失』をも増やし続けてきた歴史への深い教訓となっているからだ。

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